トピックス:豪華な新築ラブホテルが「選ばれないワケ」
こんにちは!
ラブホテル・レジャーホテル経営の専門コンサルタント(株)スパイラルの平田です。
このトピックスでは、「儲かるラブホテル」を運営する為に欠かせない要素に付いて、思い出話を交えて、お話していきます。
少し長いですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
■35年ほど前にあるオーナ様からの御依頼を受けて、弊社が首都圏に新築のラブホテルを作りまして5年ほど経った頃の事です。
実は、このホテルは開業以来ずっと利用者様の絶大な御指示を戴き、1室月間売上が130万円を維持しており、ある程度は有名になっていました。
そんなある日、すぐお隣の有名チェーンホテルの支配人が訪ねてきて、
「チョットだけでも良いからホテルの内部を見せて欲しい。」と言うのです。
平田は少し驚きましたし、少し困りました。
はっきり言えば、館内にも弊社のノウハウが詰まって居るのですから、そう簡単に同業者に見られるのも・・・と思いましたが、御近所さんに頼まれて「嫌だ」とも言えないので、少しだけ当方の館内をご案内したところ、すぐに今度は「ウチのホテルも見て欲しい」と言うのです。
平田は、はっきり言って"たいして人気の無い普通のホテル"に興味も無いので、丁重に辞退しようとするのですが、どうしても見て欲しいと頼まれて仕方なく、その近隣ホテルを拝見することになりました。
幾つかの客室を見たところで、かの支配人から
「ねえ、御宅より広いでしょ」と聞かれました。
確かに、その通りなので「はい、そうですね」と答えると、
今度は「こっちの方が、掃除も出来ていると思うんだけど」と独り言のように言います。
確かに、当方のホテルは一年中満室状態が24時間続いているので、もしかしたら掃除が行き届かないところがあるかもしれませんが、なにも他所の支配人にそんな指摘を受ける立場でも無いので、聞こえない振りをしていると、
「風呂場だって、浴槽だってこっちの方がすごいし、客室に掛けている金だって、こっちの方がすごいんだよ」と
念を押されてしまいました。
「はあ・・・」と返事にならない返事をしていると・・・・・
「なのに、何でオタクばっかり混むんだよ。ワケがわかんない」と嘆き始めました。
見ると、大きな体を丸めて眉間にしわを寄せています。
あとで聞いた話では、本社から「広くてキレイで金も掛けたホテルが、負けるなら、それはお前が無能だからだ」と厳しく叱咤されていたとの事で可哀想でした。
本当に、あちら様の客室や浴室の面積は広いし、浴槽もまるで小さなプール並みです。
もちろん家具や室内装飾も凝っていて、見るからに高そうな材料が使ってありました。
それでも弊社管理ホテルの"半分より少し良いくらい"しか入客が無いのですから、彼はとても不思議だったのでしょう。
「何が違うんだ!」
と聞かれましたが、平田にはお答えできませんでした。
なぜなら、彼はれっきとした≪商売敵≫であり弊社のお客様では無いからです。
■「何かが違うから、結果が違う」
さて、どうしてこんな事が起きるのでしょう?
その近隣ホテルは、弊社の運営管理ホテルと殆ど同時に出来た新築ホテルで、全国有数のチェーン様の運営ホテルです。
このあとに、書きますのは、この時に彼には話さなかった〔お客様に選ばれる条件〕です。
常識的に考えてみれば不思議な話ですよね。
立地については、並んで建って居るのですから、違いは無いはずです。
それに、どちらも建築年数は"ほぼ同じ"ですし、彼の指摘の様に、返ってアチラ様のほうが客室も浴室も広くて、建設費も掛かっているようです。
そのうえ、客室デザインもご利用料金も殆ど変わりません。
※設計も某有名設計事務所の手によるもので、ソレハソレハ、立派なものです。
なのに、御客様の利用量は全然違うのです。
どうしてこんな事が起きるのでしょう。
「何が違うのでしょう」
◆ホテルの価値
ここで問題となるのは、ホテルの価値についての認識です。
価値というと、不動産的な価値を思い浮かべられる方も多いでしょうが、ここで大事なのは、御利用客様がホテルに感じる価値の方です。
では、その価値とは、何をどう指すのでしょうか?
価値や品質とは、ソノものが持つ特性が、それに触れる人の欲求と、どれだけ合致するかを表す指数だといっても良いででしょう。
まだ、ちょっと解り難い表現ですよね。
例えば、ここに空のペットボトルがあったとします。
もし、溺れかけている人にこの〔空のペットボトル〕をお渡ししたら、その人はどう思うでしょう。
きっと「これで命が助かるかも知れない」と高い評価(価値)を認めるでしょう。
しかし、喉がカラカラに乾いた人に、同じ〔空のペットボトル〕をお渡ししたらどうなるでしょう。
そのひとは「なにも入ってないじゃないか」と落胆し、捨ててしまうかもしれません。
つまり、同じ物であっても、立場が異なる人にとって、その価値は異なるのです。
ホテルに来られるお客様は、どんな立場の方でしょう。
また、どんな事を求めて、ホテルに来られるのでしょう。
もちろん全てのタイプのお客様が同じであるわけではありませんが、多くのお客様が求めている物には、同じ要素があるのでは無いでしょうか?
つまり「いつでも、どこでも、誰にでも」に当てはまる≪普遍≫の価値です。
❖普遍の価値
それを、ひとつひとつ解説して行きます。
あなたのホテルが「選ばれる理由」も「選ばれない理由」もこの中にあるはずです。
そして重要なのは「価値の量」ではなく「価値観」だと言う事なのです。
言ってみれば「嵩」より「向き」です。
◆安全である事
お客様でなくても危険なところには近寄りません。
より安全なところの方が安心して御利用いただけます。
ですから、貴方のホテルが、如何に「安全な環境」であるかが価値となります。
先ほどの例では、当ホテルの駐車場の出入り口にはカーブミラーが設置してあり、外の道路を通行する車が良く見えるのですが、お隣さんにはそれがありません。
また、共有部分の廊下や階段には、消防署から命じられている数を越える消火器が設置してあり、見渡すと必ず眼に入りますが、お隣さんにはそれもありません。
他にも、当ホテルの主だった従業員の胸についているネームプレートには〔救急救命資格者〕と書いてあります。
もちろん、消防署などで行なわれる救急救命訓練を受講して資格を頂いていたのです。
もしも、御客様が心臓麻痺などの緊急疾患で倒れられても、即時対応する用意ですが、こんな事も、お客様の安全をお守りする姿勢を打ち出す行為だったのです。
※いまなら、自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator, AED)を設置するような事に当たります。※最近はリースもあります。
これらの事は、建物や立地に関係しません。
それほどの経費が掛かる訳でも無くどこでも、やる気になれば出来る事です。
◆プラバシーの確保
当時の当ホテルは、年中一日中に亘り混雑していましたが、可能な限りお客様同士が出会わないように心を砕いていました。
待合室でお待ちの方を呼び出すときも、駐車場からお入りになるお客様が居ない事を確認してから電話することにしていましたし、
お帰りのお客様同士が同時にご退室になられてもエレベーターが、必ずお迎えにその階に止まっている様に遠隔操作して、決してエレベーターホールで出会わない様にしていました。
また、フロントロビーには中央に水槽を置き、入館のお客様が重なったときでも、お客様同士が、お互いに見えない構造を作り出しました。
この心使いは、お隣のホテルではなされていませんでした。
ロビーは、単なる豪華な広場で何処にも遮蔽物はありません。
それに、フロントに向かって立ちますと、入り口を背にする様な構造なので、とても後からの視線が気になるのです。
また、当ホテルでは、当時流行していたメンバーズカードをあえて発行せず、御利用時にお渡しするルームカードが、ソノ役目を果たしていました。
もちろん、生年月日や記念日、お住まいなどの情報も一切承りませんでした。
戴いていない個人情報が洩れる心配はありません。
お隣のホテルでは、最新システムを導入されて、メンバーに登録するときには、お客様から多くの個人情報を聞いていたそうです。
いちいちプライバシーを聞かれる事をお客様は好みません。
聞かなくて良い事を、聞くのは止めましょう。
◆快適性の確保
ホテルが快適なのは当たり前です。
ここで言う快適性は「適度な広さ」等の事です。
当ホテルの客室も浴室も特別驚くような広さは備えていません。
お隣さんが「うちのほうが広い」と言っていますが、そんなに広い必要があるのでしょうか?
このホテルの建設には、土地選びの段階から弊社平田が関与しています。
客室などの面積についても、不必要に広さを要求する事は有りませんでした。
あなたは、4畳半もあるようなトイレが快適だと思いますか?
まして、ホテルには片時も離れたくない恋人同士が来るのです。
適正な広さの限界があるのです。
そして、「静寂」は本当に「快適」なのでしょうか?
確かに、眠るときに余計な騒音は不要です。
でも、シーンと静まり返る必要があるでしょうか?
皆さんは、テレビをつけっぱなしで寝てしまう事や、電車の揺れと騒音の中で、ついウトウトとしたくなる事はありませんか?
どこかで、見守られているような、それで居てうるさく感じない程度の音楽があったほうが、快適なのではありませんか?
あのホテルさんでは、高級感を大事にされているそうで
ロビーも各階の廊下も、非常に静かでした。
平田は「これでは、うっかりイビキもかけないな」と思いました。
◆簡便性
簡単に言えば使いやすさと言う事でしょうか?
その頃の当ホテルは、殆ど並ばずにご利用いただくことは出来ませんでした。
それも週末になると、常時20台以上の車が並ぶのです。
これでは、とてもでは有りませんが使いやすいとは言えません。
そこで、当ホテルでは並んでいるお客様の車両に、ベルボーイ制服のスタッフが伺いまして「お飲み物のリクエスト」を頂いて歩くのです。
もちろん無料ですし、おかわりも自由です。
珈琲・紅茶・ウーロン茶・ミルクもココアもあります。
残念ですがお車ですからアルコールはご提供できませんが、お待たせするお客様への、せめてものお詫びの気持ちです。
もちろん館内の待合室では、ビールもウィスキーも焼酎でも飲み放題にしました。
そうしたらお客様に「待っている間、ただでデートが出来る」と喜ばれて、意外な好評をいただけるようになりました。
待つ事は待つのですが、ある意味便利でもあるのです。
二人っきりになれると言う点であれば、ホテルも車も大きくは変わりません。
お客様は、御飲み物の御代わりが欲しくなると、御自分の携帯電話で、ホテルフロントに注文してくださいます。
そんなお客様の行列に、例のお隣さんの支配人が「ウチなら、待たずには入れるよ」と声をかけては「うるさい!」と怒られているのを何回も目撃しました。
そして、その支配人は、ジャージの上下にタオルを首にかけている姿でした。
便利と、安物は違います。
◆感動
私達は「感動(experience)こそが商品」と考えています。
「良い意味で期待を、裏切る」「驚きをもって喜んでいただく」それこそが、私達の商品だと思っています。
極々当たり前のご接待では、感動は「商品」となりません。
いままでお話した全て(実は、他にも書ききれないほど多いのですが)は、みんな御客様に感動をお届けするために、あったのです。
確かに、一つ一つの事柄は、たいした事ではありません。
少しだけお客様に喜んでもらいたいと願う気持ちの現われです。
それが沢山沢山、隙間無く集まって、ようやく感動していただけるのです。
これは、中途半端では感じて頂けないことなのです。
この事を平田は「ゼロ」×3=は「ゼロ」でも「ゼロ」×「100」なら「ゼロじゃない」として信じています。
また、どれほど素晴しい製品や規格でも、お届けするときに誠意がなければ、台無しになってしまうと言う事も100×「ゼロ」は「ゼロにしかならない」と思っています。
確かに面倒です。時間も掛かります。神経も使います。
でも、そうしなければ「感動」をお届けする事は出来ません。
■選ばれるために
良く「お客様に愛されるホテルを目指す」という方がいます。
でも、平田は「お客様を愛して止まないホテル」を目指す事をお薦めします。
「こうすれば、愛されるだろう」と考える事も大事かもしれませんが、それよりも、お客様の「不満」と「不便」と「不安」を取り除き、感動を体験して頂けます様にする為に、絶え間ない努力を尽くしましょう。
そして、それは「お客様を愛する心」でしか為し得ません。
💖貴方のホテルが、多くの御客様に選ばれて、毎日賑わいます様に、心からお祈りします。
ラブホテル・レジャーホテル経営の専門コンサルタント(株)スパイラルの平田です。
このトピックスでは、「儲かるラブホテル」を運営する為に欠かせない要素に付いて、思い出話を交えて、お話していきます。
少し長いですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
■35年ほど前にあるオーナ様からの御依頼を受けて、弊社が首都圏に新築のラブホテルを作りまして5年ほど経った頃の事です。
実は、このホテルは開業以来ずっと利用者様の絶大な御指示を戴き、1室月間売上が130万円を維持しており、ある程度は有名になっていました。
そんなある日、すぐお隣の有名チェーンホテルの支配人が訪ねてきて、
「チョットだけでも良いからホテルの内部を見せて欲しい。」と言うのです。
平田は少し驚きましたし、少し困りました。
はっきり言えば、館内にも弊社のノウハウが詰まって居るのですから、そう簡単に同業者に見られるのも・・・と思いましたが、御近所さんに頼まれて「嫌だ」とも言えないので、少しだけ当方の館内をご案内したところ、すぐに今度は「ウチのホテルも見て欲しい」と言うのです。
平田は、はっきり言って"たいして人気の無い普通のホテル"に興味も無いので、丁重に辞退しようとするのですが、どうしても見て欲しいと頼まれて仕方なく、その近隣ホテルを拝見することになりました。
幾つかの客室を見たところで、かの支配人から
「ねえ、御宅より広いでしょ」と聞かれました。
確かに、その通りなので「はい、そうですね」と答えると、
今度は「こっちの方が、掃除も出来ていると思うんだけど」と独り言のように言います。
確かに、当方のホテルは一年中満室状態が24時間続いているので、もしかしたら掃除が行き届かないところがあるかもしれませんが、なにも他所の支配人にそんな指摘を受ける立場でも無いので、聞こえない振りをしていると、
「風呂場だって、浴槽だってこっちの方がすごいし、客室に掛けている金だって、こっちの方がすごいんだよ」と
念を押されてしまいました。
「はあ・・・」と返事にならない返事をしていると・・・・・
「なのに、何でオタクばっかり混むんだよ。ワケがわかんない」と嘆き始めました。
見ると、大きな体を丸めて眉間にしわを寄せています。
あとで聞いた話では、本社から「広くてキレイで金も掛けたホテルが、負けるなら、それはお前が無能だからだ」と厳しく叱咤されていたとの事で可哀想でした。
本当に、あちら様の客室や浴室の面積は広いし、浴槽もまるで小さなプール並みです。
もちろん家具や室内装飾も凝っていて、見るからに高そうな材料が使ってありました。
それでも弊社管理ホテルの"半分より少し良いくらい"しか入客が無いのですから、彼はとても不思議だったのでしょう。
「何が違うんだ!」
と聞かれましたが、平田にはお答えできませんでした。
なぜなら、彼はれっきとした≪商売敵≫であり弊社のお客様では無いからです。
■「何かが違うから、結果が違う」
さて、どうしてこんな事が起きるのでしょう?
その近隣ホテルは、弊社の運営管理ホテルと殆ど同時に出来た新築ホテルで、全国有数のチェーン様の運営ホテルです。
このあとに、書きますのは、この時に彼には話さなかった〔お客様に選ばれる条件〕です。
常識的に考えてみれば不思議な話ですよね。
立地については、並んで建って居るのですから、違いは無いはずです。
それに、どちらも建築年数は"ほぼ同じ"ですし、彼の指摘の様に、返ってアチラ様のほうが客室も浴室も広くて、建設費も掛かっているようです。
そのうえ、客室デザインもご利用料金も殆ど変わりません。
※設計も某有名設計事務所の手によるもので、ソレハソレハ、立派なものです。
なのに、御客様の利用量は全然違うのです。
どうしてこんな事が起きるのでしょう。
「何が違うのでしょう」
◆ホテルの価値
ここで問題となるのは、ホテルの価値についての認識です。
価値というと、不動産的な価値を思い浮かべられる方も多いでしょうが、ここで大事なのは、御利用客様がホテルに感じる価値の方です。
では、その価値とは、何をどう指すのでしょうか?
価値や品質とは、ソノものが持つ特性が、それに触れる人の欲求と、どれだけ合致するかを表す指数だといっても良いででしょう。
まだ、ちょっと解り難い表現ですよね。
例えば、ここに空のペットボトルがあったとします。
もし、溺れかけている人にこの〔空のペットボトル〕をお渡ししたら、その人はどう思うでしょう。
きっと「これで命が助かるかも知れない」と高い評価(価値)を認めるでしょう。
しかし、喉がカラカラに乾いた人に、同じ〔空のペットボトル〕をお渡ししたらどうなるでしょう。
そのひとは「なにも入ってないじゃないか」と落胆し、捨ててしまうかもしれません。
つまり、同じ物であっても、立場が異なる人にとって、その価値は異なるのです。
ホテルに来られるお客様は、どんな立場の方でしょう。
また、どんな事を求めて、ホテルに来られるのでしょう。
もちろん全てのタイプのお客様が同じであるわけではありませんが、多くのお客様が求めている物には、同じ要素があるのでは無いでしょうか?
つまり「いつでも、どこでも、誰にでも」に当てはまる≪普遍≫の価値です。
❖普遍の価値
それを、ひとつひとつ解説して行きます。
あなたのホテルが「選ばれる理由」も「選ばれない理由」もこの中にあるはずです。
そして重要なのは「価値の量」ではなく「価値観」だと言う事なのです。
言ってみれば「嵩」より「向き」です。
◆安全である事
お客様でなくても危険なところには近寄りません。
より安全なところの方が安心して御利用いただけます。
ですから、貴方のホテルが、如何に「安全な環境」であるかが価値となります。
先ほどの例では、当ホテルの駐車場の出入り口にはカーブミラーが設置してあり、外の道路を通行する車が良く見えるのですが、お隣さんにはそれがありません。
また、共有部分の廊下や階段には、消防署から命じられている数を越える消火器が設置してあり、見渡すと必ず眼に入りますが、お隣さんにはそれもありません。
他にも、当ホテルの主だった従業員の胸についているネームプレートには〔救急救命資格者〕と書いてあります。
もちろん、消防署などで行なわれる救急救命訓練を受講して資格を頂いていたのです。
もしも、御客様が心臓麻痺などの緊急疾患で倒れられても、即時対応する用意ですが、こんな事も、お客様の安全をお守りする姿勢を打ち出す行為だったのです。
※いまなら、自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator, AED)を設置するような事に当たります。※最近はリースもあります。
これらの事は、建物や立地に関係しません。
それほどの経費が掛かる訳でも無くどこでも、やる気になれば出来る事です。
◆プラバシーの確保
当時の当ホテルは、年中一日中に亘り混雑していましたが、可能な限りお客様同士が出会わないように心を砕いていました。
待合室でお待ちの方を呼び出すときも、駐車場からお入りになるお客様が居ない事を確認してから電話することにしていましたし、
お帰りのお客様同士が同時にご退室になられてもエレベーターが、必ずお迎えにその階に止まっている様に遠隔操作して、決してエレベーターホールで出会わない様にしていました。
また、フロントロビーには中央に水槽を置き、入館のお客様が重なったときでも、お客様同士が、お互いに見えない構造を作り出しました。
この心使いは、お隣のホテルではなされていませんでした。
ロビーは、単なる豪華な広場で何処にも遮蔽物はありません。
それに、フロントに向かって立ちますと、入り口を背にする様な構造なので、とても後からの視線が気になるのです。
また、当ホテルでは、当時流行していたメンバーズカードをあえて発行せず、御利用時にお渡しするルームカードが、ソノ役目を果たしていました。
もちろん、生年月日や記念日、お住まいなどの情報も一切承りませんでした。
戴いていない個人情報が洩れる心配はありません。
お隣のホテルでは、最新システムを導入されて、メンバーに登録するときには、お客様から多くの個人情報を聞いていたそうです。
いちいちプライバシーを聞かれる事をお客様は好みません。
聞かなくて良い事を、聞くのは止めましょう。
◆快適性の確保
ホテルが快適なのは当たり前です。
ここで言う快適性は「適度な広さ」等の事です。
当ホテルの客室も浴室も特別驚くような広さは備えていません。
お隣さんが「うちのほうが広い」と言っていますが、そんなに広い必要があるのでしょうか?
このホテルの建設には、土地選びの段階から弊社平田が関与しています。
客室などの面積についても、不必要に広さを要求する事は有りませんでした。
あなたは、4畳半もあるようなトイレが快適だと思いますか?
まして、ホテルには片時も離れたくない恋人同士が来るのです。
適正な広さの限界があるのです。
そして、「静寂」は本当に「快適」なのでしょうか?
確かに、眠るときに余計な騒音は不要です。
でも、シーンと静まり返る必要があるでしょうか?
皆さんは、テレビをつけっぱなしで寝てしまう事や、電車の揺れと騒音の中で、ついウトウトとしたくなる事はありませんか?
どこかで、見守られているような、それで居てうるさく感じない程度の音楽があったほうが、快適なのではありませんか?
あのホテルさんでは、高級感を大事にされているそうで
ロビーも各階の廊下も、非常に静かでした。
平田は「これでは、うっかりイビキもかけないな」と思いました。
◆簡便性
簡単に言えば使いやすさと言う事でしょうか?
その頃の当ホテルは、殆ど並ばずにご利用いただくことは出来ませんでした。
それも週末になると、常時20台以上の車が並ぶのです。
これでは、とてもでは有りませんが使いやすいとは言えません。
そこで、当ホテルでは並んでいるお客様の車両に、ベルボーイ制服のスタッフが伺いまして「お飲み物のリクエスト」を頂いて歩くのです。
もちろん無料ですし、おかわりも自由です。
珈琲・紅茶・ウーロン茶・ミルクもココアもあります。
残念ですがお車ですからアルコールはご提供できませんが、お待たせするお客様への、せめてものお詫びの気持ちです。
もちろん館内の待合室では、ビールもウィスキーも焼酎でも飲み放題にしました。
そうしたらお客様に「待っている間、ただでデートが出来る」と喜ばれて、意外な好評をいただけるようになりました。
待つ事は待つのですが、ある意味便利でもあるのです。
二人っきりになれると言う点であれば、ホテルも車も大きくは変わりません。
お客様は、御飲み物の御代わりが欲しくなると、御自分の携帯電話で、ホテルフロントに注文してくださいます。
そんなお客様の行列に、例のお隣さんの支配人が「ウチなら、待たずには入れるよ」と声をかけては「うるさい!」と怒られているのを何回も目撃しました。
そして、その支配人は、ジャージの上下にタオルを首にかけている姿でした。
便利と、安物は違います。
◆感動
私達は「感動(experience)こそが商品」と考えています。
「良い意味で期待を、裏切る」「驚きをもって喜んでいただく」それこそが、私達の商品だと思っています。
極々当たり前のご接待では、感動は「商品」となりません。
いままでお話した全て(実は、他にも書ききれないほど多いのですが)は、みんな御客様に感動をお届けするために、あったのです。
確かに、一つ一つの事柄は、たいした事ではありません。
少しだけお客様に喜んでもらいたいと願う気持ちの現われです。
それが沢山沢山、隙間無く集まって、ようやく感動していただけるのです。
これは、中途半端では感じて頂けないことなのです。
この事を平田は「ゼロ」×3=は「ゼロ」でも「ゼロ」×「100」なら「ゼロじゃない」として信じています。
また、どれほど素晴しい製品や規格でも、お届けするときに誠意がなければ、台無しになってしまうと言う事も100×「ゼロ」は「ゼロにしかならない」と思っています。
確かに面倒です。時間も掛かります。神経も使います。
でも、そうしなければ「感動」をお届けする事は出来ません。
■選ばれるために
良く「お客様に愛されるホテルを目指す」という方がいます。
でも、平田は「お客様を愛して止まないホテル」を目指す事をお薦めします。
「こうすれば、愛されるだろう」と考える事も大事かもしれませんが、それよりも、お客様の「不満」と「不便」と「不安」を取り除き、感動を体験して頂けます様にする為に、絶え間ない努力を尽くしましょう。
そして、それは「お客様を愛する心」でしか為し得ません。
💖貴方のホテルが、多くの御客様に選ばれて、毎日賑わいます様に、心からお祈りします。